MTBFとMTTRの違いとは?計算式・具体例・現場での記録方法
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作業の前には、必ず電源を遮断し、社内の安全手順(ロックアウト・タグアウトなど)に従ってください。この記事は一般的な情報です。機器ごとの正式な手順や仕様は、取扱説明書とメーカーの案内を優先してください。
設備の故障対策を考えるときによく使う指標が、MTBFとMTTRです。名前は似ていますが、MTBFは「故障の起きにくさ」、MTTRは「故障からの復旧の速さ」を見る指標です。どちらか片方だけでは、設備の信頼性や停止影響を判断しきれません。
この記事では、MTBFとMTTRの違い、計算式、数字を使った計算例、現場で比較できる記録のそろえ方を説明します。計算する場合は、MTBF計算ツールとMTTR計算ツールも使えます。
MTBFとMTTRの違い
| 指標 | 見るもの | 基本の計算 | 値が大きいと |
|---|---|---|---|
| MTBF | 修理して使い続ける設備の故障間隔 | 総稼働時間 ÷ 故障回数 | 故障と故障の間の稼働時間が長い |
| MTTR | 故障した設備の平均復旧時間 | 総修復時間 ÷ 修理回数 | 復旧にかかる時間が長い |
MTBFは、設備が故障するまでの「平均稼働時間」です。値が大きいほど、故障の間隔が長かったことを示します。MTTRは故障後に設備を復旧させるまでの時間の平均で、値が小さいほど復旧が速かったことを示します。
MTBFは修理して継続使用する設備に使う指標です。故障したら修理せず交換する部品の寿命を見る場合は、MTTF(平均故障時間)を使うのが一般的です。用語や集計の細部は業界・社内基準で異なるため、比較の前に定義を決めてください。
MTBFの計算式と計算例
MTBF = 対象設備の総稼働時間 ÷ 故障回数
たとえば、1台の設備が集計期間中に合計480時間稼働し、その間に故障が3回あった場合は、次のようになります。
480時間 ÷ 3回 = MTBF 160時間
この集計では、実際に設備が運転していた時間を総稼働時間にします。計画停止や休憩など、設備が運転していない時間を稼働時間に含めると、比較値が変わります。故障回数の数え方も、同じ原因の再発や短時間の復旧を何件として扱うかをあらかじめ定めてください。
MTBF計算ツールでは、総稼働時間と故障回数を入力して平均故障間隔を計算できます。
MTTRの計算式と計算例
MTTR = 総修復時間 ÷ 修理回数
同じ設備で、3回の故障から復旧するまでに合計6時間かかった場合は、次のようになります。
6時間 ÷ 3回 = MTTR 2時間
ここでいう「修復時間」の開始と終了は、組織で定義をそろえる必要があります。故障の検知から復旧確認までを含めるのか、実際に修理作業をしていた時間だけにするのかで値が変わります。部品の到着待ちや原因調査を含めた復旧時間と、手を動かした修理時間は、別々に記録すると改善箇所を見つけやすくなります。
MTTR計算ツールでは、総修復時間と修理回数から平均復旧時間を計算できます。
MTBFとMTTRから稼働率を考える
MTBFとMTTRを組み合わせると、故障と修復だけを考えた設備の可用性を概算できます。
可用性の目安 = MTBF ÷ (MTBF + MTTR) × 100
先ほどの例でMTBFが160時間、MTTRが2時間なら、160 ÷ (160 + 2) × 100 = 約98.77%です。稼働率計算ツールでも計算できます。
これは、故障と修復の時間を使った単純化した指標です。計画保全、段取り、材料待ち、品質ロスなど、稼働率やOEEで扱う他の時間・ロスをすべて表す値ではありません。レポートや他設備との比較では、何を分母・停止時間に含めたかを併記してください。NASAの可用性資料でも、MTBFとMTTRを用いた式は前提を置いたモデルとして示されています。
比較できる記録にする5つのポイント
- 対象範囲を決める:設備全体、ユニット、部品のどこを集計するかを記録します。
- 期間と運転時間をそろえる:同じ期間・同じ稼働時間の考え方で比較します。
- 故障イベントの数え方を決める:故障、瞬停、同一原因の再発などの扱いを統一します。
- 復旧時間の開始・終了を決める:検知、修理開始、復旧確認など、記録する時点を決めます。
- 原因と対応内容も残す:故障モード、原因、交換部品、待ち時間、実修理時間を残すと次の対策につながります。
信頼性・保全データを設備単位で集め、故障、保全作業、停止時間などの定義をそろえることは、設備間の比較や分析の土台になります。ISO 14224は石油・石油化学・天然ガス産業を対象に、信頼性・保全データの収集と交換の枠組みを示しています。業種を問わずそのまま適用される規則という意味ではありませんが、記録項目や定義を明確にする考え方の参考になります。
数字を改善活動につなげる
MTBFが短くなっている設備では、故障モードや発生条件を分け、繰り返す原因がないかを調べます。MTTRが長い場合は、原因の切り分け、手順書、予備品、応援体制など、復旧を遅らせている工程を確認します。平均値だけで結論を出さず、故障ごとの記録や生産・安全への影響も見てください。
故障件数が少ない設備では、短い集計期間のMTBFやMTTRは大きく変動します。期間を明記し、複数期間の推移や故障内容と合わせて判断しましょう。MTBFは次の故障までの時間を保証するものではありません。
よくある質問
MTBFとMTTRはどちらを先に改善すべきですか?
故障の頻度と停止影響を分けて考えます。頻繁に同じ故障が起きるなら原因除去や点検方法を見直し、1回の復旧に時間がかかるなら切り分け手順、部品、作業体制を確認します。安全や品質に関わるリスクは平均値に関係なく優先して扱ってください。
MTTRに部品の到着待ち時間を含めますか?
社内で採用する指標の定義によります。設備が使えない時間全体を測るなら待ち時間を含め、修理作業そのものを測るなら分けて記録します。異なる定義の数値を同列に比較しないことが大切です。
MTBFが長ければ、信頼できる設備と言えますか?
MTBFは集計期間の平均値です。少ない故障データでは不確かさが大きく、重大故障や安全影響も平均値だけでは評価できません。故障モード、影響度、保全履歴と合わせて判断します。
参考資料
- NASA「Formulas: Inherent Availability and Reliability with Constant Failure and Repair Rates」:MTBF・MTTRを用いた可用性の式と前提。
- ISO 14224:2016:石油・石油化学・天然ガス産業における信頼性・保全データの収集と交換。
参照したマニュアル
- NASA, Formulas: Inherent Availability and Reliability with Constant Failure and Repair Rates (2023)
- ISO 14224:2016, Petroleum, petrochemical and natural gas industries — Collection and exchange of reliability and maintenance data for equipment
よくある質問
MTBFとMTTRはどちらを先に改善すべきですか?
故障の頻度と停止影響を分けて考えます。頻繁に同じ故障が起きるなら原因除去や点検方法を見直し、1回の復旧に時間がかかるなら切り分け手順、部品、作業体制を確認します。安全や品質に関わるリスクは平均値に関係なく優先して扱ってください。
MTTRに部品の到着待ち時間を含めますか?
社内で採用する指標の定義によります。設備が使えない時間全体を測るなら待ち時間を含め、修理作業そのものを測るなら分けて記録します。異なる定義の数値を同列に比較しないことが大切です。
MTBFが長ければ、信頼できる設備と言えますか?
MTBFは集計期間の平均値です。少ない故障データでは不確かさが大きく、重大故障や安全影響も平均値だけでは評価できません。故障モード、影響度、保全履歴と合わせて判断します。